古遠部温泉
こちらも口コミです。
ガタガタ道の奥の山の中に現れる、湯治系温泉。
秋田の玉川温泉などが代表例ですが、湯治(とうじ)というのは温泉を医療法として活用するものです。素泊まりでこういった湯治宿に泊まり込み、自炊を行いながら数日~数ヶ月単位で温泉に入り療養します。
私も詳しくはないのですが、玉川では専門の住み込みのお医者さんから、患者さんの状態を毎日細かくチェックしながら「今日はこの場所でこの時間この方法で療養しましょう」という診断を受けて療養するそうです。本格的。
東洋医学で治療が叶わなかった方などが、一縷の望みをかけているのでしょうか?玉川に軽い気持ちで訪問した私は、その温泉地の「異様さ」に息をのみました。温泉って観光だけではないんだ。
玉川に訪れてからは、この古遠部(ふるとおべ)温泉や大分の別府のような湯治温泉に、慎重に敬意を払うようになりましたね。遊びで行くならスーパー銭湯や観光客向け施設で十分なのです。マナーのない方はわざわざ昔ながらの湯治場に来て荒らすべきではない。
前置きが少し長くなりましたが、ここはそのような年配の方も多い施設です。フロントで380円を払い、館内撮影禁止としつこく書かれた廊下に悔しさを滲ませながら、大人しくお風呂場へ向かいます。
一応脱衣場にはドライヤー、洗い場にはリンスインシャンプーとボディーソープ、シャワーも1セットあります。が、基本的には持参推奨ですね。
私最近ついったーでフォローしている温泉マニアの方をリスペクトして、温度計を持ち歩くようになったんです。
あっつい!43.8度!!
加水の蛇口もないので、熱湯苦手な方は注意が必要です。お湯は鉄系の赤い成分が身体に付きます。白いタオルは変色注意。洗えば取れますが。湯船自体は赤くなく、不思議な不透明感。鉄泉は酸化して色がつくので、洗い場などのお湯があふれでたスペースは赤1色です。
日曜の夕方にお邪魔して、比較的若い方もいらっしゃったのが少し驚きました。しかも慣れている風に。通ってらっしゃるんでしょうか。
「トド寝」という入浴法があるのをご存知でしょうか。ついったーで時々目にした言葉でしたが、この古遠部温泉が発祥だったそうで。
洗い場にあふれでたお湯(激熱)に備え付けのマットを敷き、洗面器などを枕にして寝転がるそうです。寝転がってる人いました。私は、そっと見守るだけでしたが。
ぬるい湯では出来ない芸当ですね。面白い。湯あたりに気をつけて。
私はあまり混みあった温泉は得意ではないです。湯治のために長湯をしたり、有名なために訪問客の多いこの古遠部温泉、おまけに脱衣場もお風呂場もそこまで大きくなく、譲り合い精神が試されるので、いい湯ですがゆっくりは出来ない印象でした。
これなら私は広々とした新屋温泉を選ぶかなぁ。
人の価値観は人それぞれなので、合う合わないを押し付けるのも押し付けられるのも違うと思います。実際いい湯だからここまでリピーターがついているわけですし。知らない人ともすぐ会話が生まれてしまうような、そんな暖かな雰囲気はとても素晴らしいです。それを好む方にはピカイチの温泉ですね!
他人の価値観に振り回されず、自分の価値観でいい湯を選ぶのが、何よりも大切だし一番の温泉療養法です。
また気が向けば行ってみようかなぁ。もし誰もいないラッキーな瞬間があれば、こっそりトド寝をやってみたい。笑
立ち寄り時間帯が長いのも高得点ですね。ただ街灯が無さそうなので夜道は危険かも。